5月・6月の旬野菜と心と体を整える季節の食養生
新緑香る日々が続き、早くも夏を感じる日差しが眩しくなってきました。
風が心地よく感じられる一方で、気温や湿度の変化も大きく、身体には知らず知らずのうちに負担がかかっています。
実はこの時期、以前の記事でもお伝えしたように、冬に眠っていた不調や病気が目を覚ますタイミング。
花粉症や皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が出やすくなるだけでなく、新しい生活リズムや人間関係の疲れが積み重なり、いわゆる「五月病」のような精神的な不調にもつながりやすい季節です。
そんな春から初夏にかけてのゆらぎの時期には、体をリセットし、気持ちを整える食事の力が大きな味方になります。
特に注目したいのが、5月から6月にかけて旬を迎える野菜や魚介、そして滋養をもたらす良質なたんぱく源。
この時期に出回る食材には、冬に溜まった疲れや不要なものを“外に出す”力と、初夏に向けて体を内側から整える栄養がたっぷりと含まれています。
今回のテーマでは、これまでにも取り上げてきた
マグネシウム、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、タンパク質 といった
“今こそ意識したい栄養素”を中心に、旬の食材をピックアップ。
それぞれの食材に含まれる栄養の特徴と、吸収を高めるための調理法や食べ合わせもあわせてご紹介していきます。
季節の変わり目に乱れがちな体調や心のコンディションを、自然の恵みでやさしく整えていきましょう。
体調を整える、5〜6月の旬食材とその栄養のはたらき
季節の変化に揺れるこの時期こそ、栄養のあるものを“効率よく吸収する”ことが大切です。
ここでは、5〜6月に旬を迎える身近な食材の中から、代謝や免疫、神経、消化のサポートにつながる栄養素を含むものを中心に、
その“働き”と“吸収の工夫”をあわせてご紹介していきます。
【アスパラガス】
◎ 主な栄養素:葉酸、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維
◎ 期待できる効果:貧血予防、抗酸化、便通改善、疲労回復
◎ 吸収のコツ:ビタミンEは油と一緒に摂ると吸収率アップ。オリーブオイルで蒸し焼きやソテーに。
【うなぎ(天然)】
◎ 主な栄養素:タンパク質、ビタミンB12、ビタミンA・E、DHA/EPA
◎ 期待できる効果:滋養強壮、神経系のサポート、美肌、疲労回復
◎ 吸収のコツ:脂溶性ビタミンが多いため、胃腸の働きが高い夕食時に。たんぱく質と合わせて効率よく活用。
【かぶ】(葉と根で役割が異なります)
◉ かぶの葉
◎ 主な栄養素:ビタミンA(βカロテン)、C、K、葉酸、鉄、カルシウム
◎ 期待できる効果:免疫力アップ、貧血予防、骨の健康サポート、抗酸化
◎ 吸収のコツ:さっと茹でてナムルや炒め物にすると、脂溶性ビタミンやミネラルの吸収率がアップ。
◉ かぶの根(白い部分)
◎ 主な栄養素:ビタミンC、消化酵素(アミラーゼ)、カリウム、食物繊維
◎ 期待できる効果:胃腸ケア、むくみ予防、風邪対策
◎ 吸収のコツ:軽く加熱、またはすりおろして生食することで、酵素やビタミンを生かせる。
【そら豆】
◎ 主な栄養素:タンパク質、葉酸、ビタミンE、マグネシウム
◎ 期待できる効果:筋力維持、睡眠の質向上、妊娠期の栄養補給、PMS対策
◎ 吸収のコツ:蒸すことで栄養の流出を防ぎ、ビタミンEは油と一緒に摂ると効果的。
【たけのこ】
◎ 主な栄養素:食物繊維、葉酸、カリウム
◎ 期待できる効果:便秘改善、むくみの解消、デトックスサポート
◎ 吸収のコツ:柔らかく煮てしっかり噛むことで、消化器への負担を減らし、吸収効率が高まる。
【にんにく】
◎ 主な栄養素:アリシン、ビタミンB6、C、マグネシウム
◎ 期待できる効果:免疫強化、血流促進、冷えの改善、疲労回復
◎ 吸収のコツ:刻んで10分置くとアリシンが活性化。加熱しすぎず、油や味噌と組み合わせるのがおすすめ。
【びわ(果実)】
◎ 主な栄養素:βカロテン、ビタミンC、カリウム、食物繊維
◎ 期待できる効果:肌や粘膜の保護、抗酸化、むくみの改善
◎ 吸収のコツ:食後のデザートとして摂ると胃にやさしく吸収されやすい。
【びわの葉茶】
◎ 主な栄養素:ポリフェノール(ウルソール酸・タンニンなど)
◎ 期待できる効果:抗炎症、肌荒れ・口内炎の予防、デトックスサポート
◎ 吸収のコツ:煮出して常温~冷やして飲むと作用が穏やかに広がる。日中の水分補給にも◎
【らっきょう】
◎ 主な栄養素:アリシン、食物繊維、硫化化合物
◎ 期待できる効果:腸内環境の改善、血流サポート、抗菌作用
◎ 吸収のコツ:発酵食品としての甘酢漬けが腸内細菌と相性◎。1日1〜2粒でも十分。
【ミツバ】
◎ 主な栄養素:ビタミンC、鉄、カリウム、βカロテン
◎ 期待できる効果:免疫サポート、貧血対策、リラックス効果
◎ 吸収のコツ:仕上げに加えることでビタミンCを保持。さっと茹でで風味も活きる。
【新じゃがいも】
◎ 主な栄養素:ビタミンC、カリウム、食物繊維
◎ 期待できる効果:疲労回復、免疫強化、むくみ予防、腸活
◎ 吸収のコツ:皮ごと調理でビタミンCを守る。水にさらしすぎず、焼き・蒸し料理がおすすめ。
私たちの体は、季節のリズムとともにゆらぎながら生きています。
その時期に自然と育つ「旬の食材」は、まさにその季節の体に必要な栄養を備えた、自然からの贈りもの。
とくに5月〜6月は、気温・湿度・生活環境の変化が大きく、心も体もゆらぎやすい時期です。
だからこそ、旬のものを上手に取り入れることで、体の内側から整えるサポートになります。
栄養価が高く、風味も豊かな初夏の食材たち。
「いま」の体に合った食べ方で、季節の変わり目を健やかに乗り越えていきましょう。
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