精密栄養学とは?
個性に寄り添う、新しい「健康」の選択肢
近日中に栄養カウンセリングに関する新しいサービスのご提供を予定しております。
そして今回は、私が現在学んでいるその「精密栄養学」についてご紹介していきたいと思います。
健康に良いと言われている食べ物や栄養素を取り入れているのに、なぜか体調が整わない。
周りと同じように気をつけているのに、自分だけ疲れやすかったり、逆に調子を崩しやすかったり。
それは人の個性が一人ひとり違うように、体質や代謝のタイプもそれぞれ違うのです。
にもかかわらず、一般的な栄養学では「バランスよく食べましょう」「○○は体に良い」といった、
全体最適を前提とした情報が中心になりがちです。
一方、アメリカでは“パーソナライズド栄養”や“個別化医療”が進んでおり、遺伝情報や腸内環境、ストレスの影響などをもとに、個人に最適化されたアプローチが行われています。
ただしその多くは自由診療であり、情報や経済的余裕がある人にしか届きにくいという現実もあります。
つまり、健康情報へのアクセスの格差=医療格差が広がっているのです。
一方で、日本は保険制度が充実しており、医療機関には気軽にアクセスできます。
不調があれば病院で診察を受け、薬で症状を抑えるという流れが一般的です。
この仕組みはとても大切ですが、「病気ではないけれどなんとなく調子が悪い」という状態に対しては、
十分なケアが届きにくいのが現実です。
精密栄養学は、まさにそうした“未病”や“なんとなく不調”を感じている人にこそ役立つツールです。
食べたものが「どう吸収され、どう使われ、どう排出されるのか?」
その一人ひとり異なるプロセスに着目し、根本から整えるアプローチを行います。
私はまず、子どもたちや家族が毎日を元気に、気持ちよく過ごせるように。
そして、そこで得た知識や体験を、身近な人たちの健康サポートに役立てていけたらなと思っています
精密栄養学とは? ― “摂る”から“使う”への視点の転換
私が現在学んでいる「精密栄養学」は、書籍『血液データから読み解くあなたの人生 精密栄養学のすすめ』の著書の田中先生を始め、神宮前統合医療クリニックの先生のセミナーを受講しています。
この分野は、「栄養学」と聞いて一般に思い浮かべる内容とは少し異なります。
なぜなら、体に入れる栄養素の“量”だけでなく、その後の“使われ方”にまで焦点を当てているからです。
一般的な栄養学は「摂取」を基準にした学問です。
たとえば、エネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルなどを「どのくらい摂取すれば良いか」という標準値やバランスを基準にした考え方が中心です。
実際に、日本では栄養学の発展が早く、1939年(昭和14年)に栄養士制度が世界で初めて法制化されたことからも、戦後の食糧難や生活習慣病対策において、栄養士が重要な役割を果たしてきた歴史があります。
こうした栄養学は「万人に共通する健康基準」を提示するにはとても有効ですが、一人ひとりの違いや体質、代謝のクセまでは十分にカバーできていません。
分子栄養学は「細胞レベルの栄養補充」に特化したアプローチです。
分子栄養学(オーソモレキュラー)は、主に血液検査などを活用しながら、細胞が正常に働くために必要な栄養素を“分子レベル”で補うという考え方に基づいています。
特定のビタミンやミネラルの欠乏を検出し、それを補うサプリメント療法を中心に構成されることが多く、機能性医学や統合医療と連動するケースもあります。
ただし、分子栄養学は「補うこと」に重点が置かれているため、なぜその栄養素が足りなくなったのかという原因やプロセスには踏み込みにくいという側面があります。
一方、精密栄養学は「体の使い方」に焦点を当てた栄養学です。
精密栄養学では、食べたものがどのように消化・吸収され、どのようにエネルギーとして使われ、そして老廃物として排泄されるかという一連の流れに注目します。
同じ栄養を摂っていても「元気になる人」と「逆に不調になる人」がいるのは、この“使い方”=代謝や解毒、腸内環境、ホルモン状態などが人によって違うからです。
つまり精密栄養学とは、栄養の入り口(摂取)だけでなく、出口(排泄)までを含めた「プロセスを見る栄養学」と言えます。
サプリメントでの補充も活用しますが、それ以上に、「なぜその栄養が吸収されていないのか?」「どこで滞っているのか?」という“機能の全体像”を読む視点が重要です。
このように、精密栄養学は一般的な栄養学や分子栄養学とも異なる独自のアプローチで、「体質を知り、使い方を整える」ための土台になります。
精密栄養学が必要とされる背景
一見、健康そうに見えるのに、慢性的な疲労感や冷え、頭の重さ、胃腸の不快感など、どこかしら“なんとなく調子が悪い”という感覚を抱えている人は少なくありません。
健康診断では「異常なし」と言われるけれど、毎日を心地よく過ごせている実感がない。
それは今、現代人にとても多く見られる状態です。
このような“病気ではないけれど、健康とは言えない”グレーゾーンの体調――いわゆる「未病」の段階に対して、
従来の医療や栄養指導だけでは、十分にアプローチしきれない現実があります。
背景には、現代の暮らしに特有のさまざまな要因が重なっています。
● 自律神経の乱れやすいライフスタイル
情報過多、ストレスの多さ、スマートフォンの常時接続、人間関係の緊張感…。
こうした刺激が交感神経を過剰に優位にし、体が休まらない状態が続くと、
消化や吸収、代謝、解毒といった“体のメンテナンス機能”が落ちていきます。
いくら体に良いものを食べても、それを処理する力が不足していれば、
栄養はうまく使われず、逆に不調の一因にもなりかねません。
● 現代型の“栄養のミスマッチ”
食生活が豊かになった一方で、加工食品や高糖質な食事、栄養バランスを欠いた食べ方が習慣になっている人も多くいます。
見た目には満たされていても、代謝や回復に必要な“微量栄養素”が不足しているという状態が起こりやすく、
それが慢性疲労、肌トラブル、集中力の低下などにつながっていくこともあります。
● 情報が多すぎて、選べない
「体に良い」とされる食事法や栄養情報は、メディアやSNSを通じて毎日のように更新されます。
けれども、その情報が自分の体に本当に合っているかどうかを見極めるのは難しく、かえって迷いや混乱を招いてしまうケースも少なくありません。
こうした背景から、
「何を食べるか」だけではなく、
「今の自分の体が、栄養をどう使えているか」までを見つめ直す視点が求められています。
そして、精密栄養学はまさにそのためのアプローチです。
この学問は、不調を感じている人だけでなく、
「若い頃のような活力や肌のハリを取り戻したい」
「出産後の体を整え、産前よりもしなやかに美しくなりたい」
「ピラティスなどで姿勢や呼吸が整ってきたから、内側もより深くケアしたい」
そんな思いを持つ方にも、深く関わるものです。
今の状態を守るだけでなく、
“もっと元気に、もっと自分らしく過ごすため”の選択肢として、精密栄養学は力を発揮します。
家族のために、自分の体で学びながら
私が精密栄養学の学びを深めようと思ったのは、まずは家族や子どもたちの健康を守りたいという、ごくシンプルな願いからでした。
以前の私は、「健康に良い」とされる食事法やライフスタイルを、次々と自分の体で試しながら、日々、体の反応を観察していました。
いわば、自分の体を使った人体実験です。
そうした経験を重ねる中で気づいたのは、「同じ方法が、誰にでも当てはまるわけではない」という当たり前の事実でした。
それぞれの体には、違った反応の“クセ”や“傾向”がある。
そして、それを科学的に読み解く視点が必要なのだということです。
だからこそ、私が学んでいる精密栄養学では、自分自身で納得しながら、必要な情報を選び、それを身近な人たちに無理なく応用できるような知恵として蓄えていくことを大切にしています。
たとえば――
子どもが風邪をひきやすいとき、どう食事でサポートできるか
パートナーが産後の回復期にあるとき、どんな栄養素が必要か
自分自身のエネルギーや集中力が落ちたとき、何が不足しているのか
そんな日常の小さな問いに、確かな視点を持って向き合えるようになりたい。
それが私にとっての、精密栄養学の学びの目的であり、この経験をより多くの人の役に立てていきたいと考えています。
ひとりひとりに合った健康のために
私たちの体は、それぞれが異なる設計図を持ち、食べたもの、感じたストレス、生活習慣への反応も、人それぞれです。
だからこそ「とりあえずこれが健康にいいらしい」「みんながやってるから」という情報だけでは、本当の意味での“自分に合った健康法”にはたどりつけません。
精密栄養学は、そうした個体差を前提に、血液検査や生活習慣のデータをもとにした、パーソナルな栄養アプローチを提案する学問です。
今回の記事では、その概要や背景、そして私自身がなぜこの学びに惹かれ、どう家族のケアや日々の暮らしに取り入れようとしているのかをご紹介しました。
「なんとなく不調を感じているけれど、検査では異常なし」
「歳を重ねても、自分らしく健やかに過ごしたい」
「もっと深く、食事や体のことを理解したい」
そんな方にとって、精密栄養学はきっと、新しい視点を与えてくれるはずです。
栄養カウンセリングの募集案内についてご興味のある方はお楽しみにお待ちください。
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