塩選びの重要性〜ただの調味料ではなく、身体を支える「生命のミネラル」〜
こんにちは、AKIです。
今回は、「塩」についてお話しします。
普段の食卓に当たり前にある塩ですが、実はこの小さな結晶には、人の生命を支える役割 が込められています。
■ かつて「塩」は“価値そのもの”だった
「サラリー(Salary)=給料」という言葉の語源をご存知でしょうか?
英語の Salary は、ラテン語 “Sal(塩)” に由来しています。古代ローマでは、兵士への報酬として 塩 が支払われていました。
それほど塩は貴重で、生活と生存を支える“価値”そのものだったのです。
■ 「敵に塩を送る」に込められた、命への敬意
そして日本にも、塩の重要性が語られる有名な逸話があります。
戦国時代、私が個人的に好きな武将 武田信玄と、その宿敵であった上杉謙信の話です。
当時、信玄の領地は他国からの圧力で 塩の流通を止められていました。
塩がなければ、食事も治療もできず、兵は弱り、領民は命を落とします。
その状況を知った謙信は、
「戦は戦。だが生きるための塩は断たぬ。」と、あえて信玄のもとへ塩を送ったとされています。
まさに、「敵に塩を送る」。
そこには、塩は命をつなぐものであるという深い理解がありました。
■ 江戸時代には「塩抜き刑」という処罰もあった
江戸時代には、罪人に 塩分を断つ刑罰 が行われました。
塩を断つと、人はどうなるか。
思考力が低下する
意欲が抜ける
筋肉が震える
立ち上がれなくなる
心まで弱っていく
つまり、塩は 生命活動のスイッチ そのもの。
昔の人は、経験としてこれを知っていたのです。
■ では、現代の私たちはどうでしょう?
塩は、どこでも買える時代になりました。
けれど、店頭に並ぶ多くの塩は ミネラルが取り除かれた「精製塩」。
一方、昔の人が食べていた塩は、海水・岩・湖から生まれた ミネラルを含んだ天然塩。
ナトリウムだけの塩と、
マグネシウム・カリウム・カルシウムも含む塩
身体に与える影響はまったく別物です。
疲れやすい
むくみやすい
肩がこる
呼吸が浅い
眠りが浅い
こうした不調の背景には、
ミネラル不足 が潜んでいることが珍しくありません。
■ 今回は「塩」を、もう一度、身体の視点から見直します
塩は味付けではない。
身体を動かすための“情報と電気の媒体”である。
昔の人は、本能的にそれを知っていました。
だからこそ、塩は価値であり、文化であり、命でした。
現代に生きる私たちが “もう一度取り戻したい感覚” でもあります。
塩は、体の中でどんな働きをしているのか?
塩(ナトリウム)は、体の中で 生命活動を支えるスイッチ のような存在です。
細胞の水分バランスを整える
→ むくみ・だるさの改善神経や筋肉に“動け”という信号を送る
→ 肩こりや筋肉疲労に関係エネルギーを作る回路を助ける
→ 疲れやすさ・集中力に影響胃酸の生成に関わる
→ 消化力・食欲・腸の調子に関係
つまり、塩は 体を動かすための電気信号そのもの。
不足すると、
「体が重い」「だるい」「ぼーっとする」「力が入らない」
といった不調が現れやすくなります。
■ では、「塩分のとりすぎ」はどうして問題になるのか?
よく「塩分のとり過ぎは良くない」と言われますが、それは “塩の種類” と “ミネラルのバランス” によって変わります。
とりすぎが問題になるケースは、主に
精製塩(ナトリウムだけの塩) を大量にとったとき
です。
ナトリウムだけが体内で増えると、
体が水分を抱え込みすぎて むくむ
血管の中の圧が上がり 血圧が乱れやすくなる
筋肉が緊張し 肩こりや頭痛が強くなることも
といった負担につながることがあります。
しかし、マグネシウム・カリウム・カルシウムが含まれた天然塩の場合は違います。
これらのミネラルには、
体の水分を調節する
血管や神経を“ゆるめる”
興奮を鎮めて呼吸を整える
といった バランスを取る働き があるため、「少量でも体にしみ込みやすく、味も“深く”感じやすい」
というメリットがあります。
つまり、
問題は「塩分量」だけではなく「どんな塩か」。
ここがとても大切なポイントです。
以前、マグネシウムについて詳しく記事にまとめていますので、
今回の内容と合わせて読んでみてください。
精製塩と天然塩の違い
塩には大きく分けて 「精製塩」 と 「天然塩」 の2種類があります。
ここを理解するだけで、体への作用がまったく違うことが見えてきます。
◆ 精製塩(食卓塩)
スーパーなどでよく見かける「さらさらの白い塩」。
これは海水から ナトリウムだけを取り出して濃縮した塩 です。
成分のほとんどが 塩化ナトリウム(99%以上)
ミネラルはほぼ除去されている
味が尖っていて、体内で負担がかかりやすい
→ むくみ・血圧の変動・筋肉のこわばり につながりやすいのはこの種類。
「塩分のとりすぎに注意」と言われる背景は、ほとんどがこの塩による影響です。
◆ 天然塩
海水・岩塩・湖から採取され、本来のミネラルを含んだ塩。
ナトリウムのほかに カリウム・マグネシウム・カルシウム などが含まれる
味に丸みがあり、体の電解質バランスを整えやすい
筋肉と神経を“ゆるめながら”働かせることができる
→ 体にやさしい・呼吸が深くなる・疲れにくい と感じやすい塩です。
海塩・岩塩・湖塩の特徴
まず、天然塩には大きく分けて「海塩」「岩塩」「湖塩」の3種類があります。
それぞれ、生成される環境が異なるため、含まれるミネラルや味わいにも違いがあります。
【海塩】
海水を蒸発させて作られた塩。
ナトリウム以外にも、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの 海由来のミネラルが豊富に含まれています。
味はまろやかで、料理全般に使いやすいのが特徴です。
とくに「体の緊張をゆるめたい」「呼吸を深くしたい」というときに、体が心地よく感じやすい塩です。
日常使いの基本となる塩は、まず海塩で選ぶとよいでしょう。
【岩塩】
太古の海が地中に閉じ込められ、長い年月をかけて結晶化した塩。
主成分はナトリウムで、海塩と比べると ミネラルの種類は少なめですが、味に個性があります。
ピンク色のヒマラヤ岩塩などは、鉄分や微量ミネラルが特徴。
料理のアクセントに向いており、「肉料理や煮込み料理など、味に深みを出したいとき」におすすめです。
【湖塩】
海水が湖に閉じ込められ、蒸発を繰り返してできた塩。
環境的に汚染の少ない土地で作られていることが多く、 ミネラルバランスが良い のが特徴です。
塩角が少なく、クセがないため、スープ・和食・温野菜などの優しい味の料理に合います。
取りすぎの注意点
どんなに良い塩でも 大量にとれば負担になります。
のどの渇き
むくみ
血圧の上昇傾向
が続く場合は、塩の量ではなく「カリウム・マグネシウムの不足」を疑うのがポイントです。
→ つまり 塩を減らすより「バランスを整える」ことが大切。
まとめ
塩は、体の水分バランスや神経の働き、筋肉の柔らかさ、そして心の落ち着きまで支えている、とても大切なミネラルです。
「塩分を控える」だけでは見えない、“体にやさしい塩を選ぶ” という視点が、これからはより大切になってきます。
精製された白い塩ではなく、海・太陽・風・大地のミネラルがそのまま残った天然塩を選ぶことで、呼吸が深まり、体が緩みやすくなり、食事がやさしく体に馴染んでいきます。
我が家のちょっとした習慣
普段は沖縄の海塩を中心に使っていますが、旅先では「その土地の塩」を探すことを小さな楽しみにしています。
たとえば、石垣島には
“満月の日だけ汲み上げられる海水で作る塩” や
“新月のときだけ仕込まれる塩” があります。
同じ海なのに、月のリズムによって、味わいや香り、塩の表情がまるで違うんです。
キッチンに置いておくだけで、その時見た空や風の匂い、旅の余韻がふっとよみがえる。
塩は、ただの調味料ではなく、暮らしの記憶と体の感覚をつなぐ、ささやかな灯りのような存在なのだと感じます。
体に合う塩は、人によって違います
むくみやすい
疲れが取れにくい
緊張しやすい
呼吸が浅い
眠りが浅い
そんな小さなサインは、ミネラルのバランスが揺らいでいるお知らせのこともあります。
「自分に合う塩を知りたい」
「体のバランスをやさしく整えていきたい」
そんな方は、健康カウンセリングでお気軽にご相談ください。
今の生活に無理なく取り入れられる整え方を、一緒に探していきましょう。
▪ 健康カウンセリング
血液データや生活習慣をもとに、一人ひとりに合った食事・栄養・セルフケアを提案します。
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呼吸と姿勢を整え、体の軸を取り戻す。体を通して“内側の安定”を育てる時間です。
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本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、
医療的な診断や治療行為を代替するものではありません。
体調に不安がある場合は、医師や専門家にご相談ください。