バイオジェニクスとは? 〜腸が元気だと、心も体も元気になる〜
〜プレ・プロに続く “第三の腸活” 〜
プレバイオティクス(腸内細菌のエサ)やプロバイオティクス(生きた善玉菌)という言葉は、腸活に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
近年、これらに並ぶ“第三の腸活法”として注目されているのが、バイオジェニクス(Biogenics)です。
バイオジェニクスとは、加熱や加工で死滅した乳酸菌や、それらが生み出す代謝産物(菌体成分・発酵抽出物)を摂取することで、腸内環境や免疫に働きかける方法です。
“生きていなくても役に立つ菌”にフォーカスし、腸にダイレクトな影響を与えることができる新たなアプローチと言えるでしょう。
私たちの腸には、約1.5〜2kgもの腸内細菌が棲んでおり、その働きは「消化」だけにとどまりません。
感情・集中力・免疫・炎症・ホルモンバランスにまで影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかになっています。
この腸と脳が密接に関係している仕組みは「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれ、ストレスが腸に影響し、逆に腸内環境がメンタルにも影響を与えるという双方向のつながりを指します。
つまり、腸は体だけでなく“心”の健康にも深く関わる臓器なのです。
今回は、そんな腸をサポートする新しい選択肢である「バイオジェニクス」について、その基本と活用法をわかりやすく紹介していきます。
① バイオジェニクスの働きとは?
バイオジェニクスとは、加熱処理された乳酸菌やその成分(菌体・代謝産物など)を活用し、腸内環境に働きかける腸活のアプローチです。プロバイオティクス(生きた菌)やプレバイオティクス(菌のエサ)とは異なり、「菌が生きていなくても効果を発揮する」ことが特徴です。
バイオジェニクスの主なメカニズム
1. 免疫の活性化
死菌や菌の成分が腸の免疫組織(パイエル板など)に直接作用し、自然免疫系を刺激します。これにより、外敵から身を守る力が高まり、アレルギーや感染症の予防にもつながります。
2. 悪玉菌の抑制
菌の代謝産物(乳酸や酢酸など)が腸内を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を防ぐ環境を整えます。また、善玉菌の活性が高まり、腸内の善玉優位な状態が保たれやすくなります。
3. 腸内環境のバランス調整
バイオジェニクスは、腸内フローラ(腸内細菌の構成)のバランスを整える働きがあります。これにより、消化・吸収の改善、ガスや便秘の緩和、全身の代謝の活性化が期待されます。
生きた菌のように腸に定着する必要がなく、届くだけで腸に作用するという点で、保存・加工の安定性にも優れており、日常的なサプリメントや食品への応用が進んでいます。
② バイオジェニクスがもたらす全身へのメリット
バイオジェニクスによって腸内環境が整うと、その恩恵は腸だけにとどまらず、全身の代謝や循環系、免疫系にまで広がっていきます。ここでは代表的な4つの健康効果をご紹介します。
1. 新陳代謝の向上
腸内環境が整うと、栄養の吸収効率が高まり、細胞のエネルギー産生がスムーズになります。
その結果、全身の代謝活動が活発化し、体温の維持や疲労回復のスピードも高まります。
2. 血圧の調整
短鎖脂肪酸(SCFA)などの腸内代謝物が血管の柔軟性を保ち、血圧の正常化をサポートするとされています。
また、炎症の抑制や自律神経の安定にも貢献し、慢性的な高血圧のリスクを和らげます。
3. コレステロールの低下
一部の腸内細菌は、胆汁酸の代謝を助けることでコレステロールの再吸収を抑制します。
これにより、悪玉(LDL)コレステロール値の低下や、中性脂肪の改善効果も期待されています。
4. 抗腫瘍効果
バイオジェニクスは腸内の炎症を抑制し、免疫機能を整えることで、腫瘍細胞の増殖を抑える可能性があると報告されています。
これはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性を高める働きとも関係しています。
このように、腸を整えることは、代謝や循環、免疫のバランスを底上げし、全身の調和を取り戻す第一歩なのです。
③ バイオジェニクスの活用方法
日々の暮らしで“腸に効く”習慣を取り入れる方法をご紹介します。
1. 発酵食品を食卓に
加熱しても活用できるのがバイオジェニクスの魅力。
毎日の食事に、以下のような発酵食品を自然に取り入れてみましょう:
味噌(汁物や炒め物に)
醤油(普段の調味料として)
ぬか漬け(乳酸菌と代謝産物が豊富)
2. バイオジェニクス素材を摂取する
乳酸菌生産物質(乳酸菌性生成エキス)などが代表例。
死菌由来の代謝産物が腸の免疫系に作用
胃酸の影響を受けにくく、安定して届けられるのが利点
3. 腸を温める生活習慣を
冷えは腸内環境の大敵。
以下の習慣で腸の働きをサポートしましょう:
白湯やハーブティーなど温かい飲み物を選ぶ
毎日の入浴でしっかり温まる
お腹を温めるアイテム(腹巻きや温熱パッド)も活用
4. 食物繊維をしっかりと摂る
善玉菌のエサとなる“水溶性食物繊維”が重要です。
ごぼう、れんこん、大根などの根菜類
こんにゃくや寒天などの伝統食材
わかめ、昆布、もずくなどの海藻類
これらは腸内で発酵・分解されることで、短鎖脂肪酸の生成を促し、腸内環境の安定化に貢献します。
まとめ
腸を整える3つのアプローチと“心と体の健康”のつながり
「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」も軽く触れておきます。
プロバイオティクス:ヨーグルトや乳酸菌飲料などに含まれる「生きた善玉菌」を体に取り入れる方法
プレバイオティクス:オリゴ糖や水溶性食物繊維など、腸内の善玉菌のエサになる栄養素を補う方法
そして近年、これらに加えて注目されているのが——
「バイオジェニクス(Biogenics)」という第3のアプローチです。
これは、殺菌処理された乳酸菌や菌体成分(いわば“死んだ菌”)を活用する腸活法であり、
腸の免疫系を刺激したり、悪玉菌の抑制・腸内環境の調整に直接作用するとされています。
プレバイオティクス=善玉菌の「ごはん」
プロバイオティクス=善玉菌を「届ける」
バイオジェニクス=善玉菌の「メッセージ」そのものを使う
このように、腸を整える方法はひとつではありません。
毎日のお味噌汁や漬物、発酵食品。
必要に応じて、菌由来のサプリメント。
そして、腸を温めたり、食物繊維を丁寧に摂る習慣——
こうした小さな積み重ねが、
心も体も元気にしてくれる「腸からの健康」を育ててくれます。
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本記事の情報は一般的な知識の提供を目的としており、医学的アドバイスに代わるものではありません。
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